お知らせ
くまもとアートポリス推進賞選賞を受賞しました
2024年、第28回くまもとアートポリス推進賞に応募し、くまもとアートポリス推進賞選賞を受賞しました。
作品名は「天然記念物布田川断層帯(谷川地区)見学施設」です。
本取組みは、平成28年熊本地震と天然記念物布田川断層帯について、科学的に正しく理解してもらうこと、そして、当時の経験や教訓を将来へ継承してもらうことを目的とした見学施設を整備したものです。
対象地の特徴として、斜交する2本の断層と被災建物等をはじめ発災時の状況が良好に保存されています。そこで、当時の臨場感を失わず来場者が安全に熊本地震を追体験できるよう配慮した設計を心掛けました。
設計において留意した点としては、まず、地震断層や被災建物など敷地内に点在する主要な要素を風雨等から保護するために変則した平面形状にも対応できるよう屋根はアーチ状の膜構造としました。さらに、2本の断層の交差部からの見通しと各断層の見通しを確保するため、柱数を極限まで減らすよう工夫しました。特に玄関ポーチ前の区間は玄関から見た当時の光景を追体験できるよう柱間隔を広げた構造としました。また、整備過程で解体した母屋は後で想起できるよう舗装の仕様を工夫して整備しました。そして、被災建物(納屋)は傾いた状態のまま保存することを目指し、木格子組などの伝統工法の応用で構造補強し、安全を確保しました。今となっては町内で唯一残存する被災建物となりました。そのほか、高低差のある敷地内をバリアフリーで巡回できるよう動線が景観に溶け込むよう配慮しました。
本施設は、令和6年4月14日に落成式を開催し、自由に見学可能となっています。断層そのものを間近で見ることができます。ぜひお立ち寄り下さい。
当時の臨場感を失わない断層 | 断層覆屋(左)と納屋覆屋(右奥) | 玄関ポーチ跡から見た光景 |
本設計のおきましては、Y.O設計(日田市)様をはじめ多くの協力会社様と連携して業務に取り組みました。皆様、ご協力頂き、まことにありがとうございました。