合意形成・協働分野は、先行実践中!


合意形成・協働分野は、先行実践中!

協働のまちづくり

アーバンと協働のまちづくり①

1980年代から1990年代にかけて当社は、全市の景観基本計画策定やふるさとの顔づくりや中心市街地活性化といった地域まちづくり計画策定及びこれらの実施に関わる住民と行政の関係づくりの業務に携わることが多々ありました。後述する世田谷区や様々なセミナー・情報誌に学び、業務で試しながら試行錯誤していました。

そうした中で、平成9年から10年に携わった「大野城市都市計画マスタープラン策定業務」は、当社にとっての転機になりました。大野城市が、藤原惠洋先生(当時の九州芸術工科大学芸術工学専攻科教授、現在は九州大学芸術工学院環境遺産デザイン部門教授)を招聘し、ワークショップ手法を取り入れて住民参加を進め、住民主体の計画策定に臨んだのです。毎日のように先生を中心に行政と一緒になって「住民が参加しやすい方法」や「情報提供の方法」などを検討し、実際に実施して振り返ってまた次の方法を考えることの繰り返し。膨大な時間がかかりましたが、「目からウロコ」の連続で2年。大野城市では今日の住民と行政の協働システムの先駆けとなり、当社は後年の公園づくりワークショプやまちづくりワークショップ業務につながる貴重な経験と実績を得ました。

今思い返しますと、アメリカで社会学的都市計画を学び、当社の草創期をリードした「十時裕」のあくなき好奇心が、成果につながったものと思われます。そしてその後も、九州への「ワークショップ」導入及び拡大時期に様々な場面や問題に取り組むとともに、当社独自での「車椅子体験ワークショップ」開催や「企業研修ワークショップ」や「経営計画策定ワークショップ」等の民間団体での試行を加え、この分野では草分け的存在になりました。

アーバンと協働のまちづくり②

「まちづくりワークショップ」実施により、行政の変化や参加者の意識・行動について学び始め、NPOやボランティア、地域(自治会や町内会、コミュニティなど)との関係づくりが生まれました。一時期でしたが、「小野仁」(当時の日本野鳥の会福岡支部長)とも環境をテーマに業務やボランティア活動を進めましたし、「十時裕」は引き続き地域活動を深めました。平成10年ころから福岡市において、緑のボランティア養成講座業務を始め、現在は緑のコーディネーター認定制度として、ボランティア及びリーダー育成を推進しています。平成18〜20年は、オフィスのある板付7丁目において「板付ドリチャン倶楽部」と称して、民間版コミュニティセンターを地域の人々と運営し、様々なNPOとの関係をつくりました。平成21年には、福岡市NPO・ボランティア交流センター「あすみん」の指定管理者業務をスタートし、NPOやボランティアの育成、NPOと地域、行政、大学、企業等との関係づくり、そしてそれらに必要とされる人材育成・研修等の企画運営に取り組んできました。

一方近年、「協働のまちづくり」や「新しい公共」の視点が当たり前になり、NPOやボランティアへの支援とともに、「まちづくり条例や自治基本条例、住民参画条例策定」といった業務にみられるように、住民参加・住民主体のまちづくりの手法が住民と行政が一緒になって検討されています。また、多くの自治体で、自治会・町内会などのコミュニティ組織の再編が進められています。「新しい公共」は、未踏の地。答えは一つではないでしょう。現在当社は、そこに取り組む自治体の運営を、長年の経験と独自のネットワークで支援させていただくとともに、コミュニティ政策学会等にも参加して研究研鑽を重ね、少しずつ答えを見いだしていきたいと思っています。

ここで、「まちづくりワークショップ」「NPO・ボランティア」「協働・新しい公共」について、ご紹介しておきましょう。

まちづくりワークショップについて

公園づくりや道づくり、公共施設やコーポラティブハウスなどの住まい計画から総合計画や都市マスタープラン等の都市全体や地域全体に関わる計画まで、行政の諸計画策定において、住民が参加すること、住民が中心になって取り組む参加型まちづくりが当たり前になって久しく、合意形成の手法として「ワークショップ」の手法がよく用いられています。
「ワークショップ」という言葉は、その起源が演劇や芸術に由来し、「仕事場」「作業場」や「工房」などの共同で何かをつくる場所を意味しているとか。最近は、問題解決やトレーニングの手法、学びと創造の手法としてこの言葉が使われる事が多く、展覧会(創作体験)や学術大会・企業研修(情報交換・学習)など、多様な分野で「ワークショップ」と称する集まりが行われるようになりました。進め方も様々なようですが、一般的には、ファシリテーターと呼ばれる司会進行役の人が、参加者が自発的に作業をする環境を整え、参加者全員が参加体験し、それを共有できるよう運営します。

まちづくり分野のワークショップは、1960年代に環境デザイナー、ランドスケープアーキテクトであるローレンス・ハルプリンが始めたとのこと。1970年代に日本に紹介され、宇都宮大学、千葉大学用でまちづくり技法として開発されるようになり、当時マンション紛争で行政批判があいついだ東京都世田谷区で「批判だけでなく行政と対等に話し合う」住民主体のまちづくり活動の一環として発達しました。「まち歩き」「まち点検」や勉強会などの活動が次第にプログラム化されていく中で、まちづくりワークショップとして定着するようになりました。地域の公園づくりを目的としたワークショップも当時の産物です。「老後の住み続けられるまちづくり」、「ゴミゼロ社会を目指すまちづくり」、「地域に開かれた消防署づくり」など、まちづくりワークショップの対象範囲は次第に広がり、世田谷区では実際に区民管理による公園づくりを実現させ、全国における住民参加の先駆けとして注目されるようになった。KJ法の手法を取り入れることで、さらに住民の合意形成技術としての性格を強め、今日ではまちづくりにおける合意形成技法として注目され、住民参加型の活動形態の一つとして位置づけられています。

NPOとボランティアについて

Wikipediaによると、「NPOとは、「Nonprofit Organization」又は「Not-for-Profit Organization」の略で、広義では非営利団体のこと。狭義では、非営利での社会貢献活動や慈善活動を行う市民団体のこと。最狭義では、特定非営利活動促進法(1998年3月成立)により法人格を得た団体(特定非営利活動法人)のことを指す。」とあります。日本では、1995年の阪神・淡路大震災を契機に市民活動団体、ボランティア団体等で法人格の必要性がクローズアップされ、市民活動団体の法人格取得を容易にするため、1998年に特定非営利活動促進法が制定されました。「特定非営利活動促進法」によって国、又は都道府県に認証を受けたNPOを通称でNPO法人と言います。

近年、自治体の財政難、住民の価値観の多様性などを背景に、これまで行政が中心に行ってきた住民サービスを地域やNPOと連携して対応していこうとする協働のまちづくりが、地方自治の主流となっています。言うまでもなく、NPO(NPO法人)への期待は大きく、様々なコミュニティ・ビジネスの主体としても活発な活動が望まれているところです。

一方、「ボランティア」」とは、「義勇兵・志願兵」を語源とするボランティア活動に携わる人のことだそうです。「ボランティア活動とは、自発的に自由意思でなんらかの奉仕行為などを行うこと」で、古典的な定義では自発(自主)性、無償(無給)性、利他(社会、公共、公益)性に基づく活動とされるようですが、今日ではこれらに先駆(先見、創造、開拓)性を加えた4つをボランティア活動の柱とする場合が一般的で、報酬の有無は基本的には関係ないそうです。

日本でも、海外ではロマ・プリータ地震(1989年)、国内では雲仙普賢岳噴火(1990年)など、災害時の復興ボランティアは以前から存在していましたが、阪神大震災で多くのボランティアが駆けつけ大きく社会的にクローズアップされました。震災年の1995年を「ボランティア元年」とし、震災の日の「1月17日」が「防災とボランティアの日」に指定され、中学校や高校、大学等でもボランティア参加を学習体験や授業単位とする場合も見受けられるようになりました。その後の各地の災害でもボランティアが活躍しています。
 行政では難しい判断や行動を一般市民が行ったことで市民活動の重要性が認識されましたが、広域なボランティ参加により、阪神・淡路ですでに「ボランティ迷惑論」があったとのこと。一部に流行を追うような軽薄な行動が有ったようです。しかし、被災地が広範囲に拡大した東北地方太平洋沖地震では、ボランティアがいくらいても足りず、また労働力の提供にも増して全国から駆けつけるという行動が被災者の心のケアに役立ったであろうとの話も聞きました。古くから地縁血縁の地域相互補助組織があった日本ですが、都市化核家族化の進展から組織の継続・有事の対応が難しくなってきており、増々ボランティアの活動が注目されているとのことです。

アーバンとあすみん

平成21年、当社は福岡市NPO・ボランティア交流センター「あすみん」の指定管理者に選定され、業務を開始しました。今後の自治体運営においてNPOやボランティ活動が不可欠であり、多くの自治体で交流支援の動きがありますが、民間企業がNPO・ボランティ交流センターの運営するのは珍しいそうです。「なぜ民間が?」といった質問を受けたときは、「当社が事業を継続するためミッションの一つ。まちづくりワークショップ等の行政計画策定支援をしながら、今後の地方自治のなかでの地域やNPO・ボランティアの役割の重要性を知り、それらの関係性を明らかにするとともに活動を支援していくことに当社の使命感と存続の意義がある」と答えています。

指定管理者はもともと、「財政難への対応、行政サービスの向上」のために、民間の知恵を入れようとのことで創設されました。当社は企業としての視点でNPO・ボランティアの育成・活動支援、問題の解決ができたらと思っています。

アメリカと日本のNPOの認識は異なるようです。ちょっと前の資料ですが、「アメリカのNPOで一番の稼ぎ頭(寄付金稼ぎだそうですが)は赤十字、伝統ある古いNPOはハーバード大学、90万件のNPOが活動して、GDPの7%位を稼ぎだし、700万〜800万人を雇用している。」そうで、企業の事業感覚として興味津々!NPOのマネジメントを支援したり、企業とNPOの連携も高めたい。そして、かつて一部の儲け主義者が招いた企業への偏見、「企業の目的は収益」という誤解を解きたい。それが、当社のミッションの一つでもあり、豊かな社会・まちをつくるため、人材育成も含めて取り組む方向です。

ところで今時、「企業の目的は収益」なんて宣言してたら、企業はやっていけません。「そろそろあすみん」のホームページからも、はずしていただきたければありがたいのですが・・・。

協働・新しい公共について

最後に、当社が現在取り組んでいる「協働のまちづくり」の動向について。

またWikipediaで恐縮ですが、「協働とは、近年、日本の地方自治の分野で、まちづくりの取り組みに不可欠なものとして唱えられている概念の一つで、例えば、地域の課題解決に向けて、行政単独では解決できない場合や市民だけでは解決できない場合に、相互にお互いの不足を補い合い、ともに協力して課題解決に向けた取り組みをすること、または、協働した方がサービス供給や行政運営上の効率が良いとされる場合に協働のまちづくりが推進されるもの、こうした発想を補完性の原則という。」とあります。

協働の主体は「市民」であるが、「行政と市民」とされることもあり、また市民にNPOや企業市民、行政市民も含まれることもあるなど、定義は難しいようです。協働とは、あらゆる市民が責任と行動において相互に対等であり、連携し主体的にまちづくりに寄与していくことが必要だそうで、行政も地域の一員として、市民の目線で協働に携わることが求められます。そのような状況を生み出すのが、当社の業務になっているのでしょう。

一方、「新しい公共とは、公共サービスを市民自身やNPOが主体となり提供する社会、現象、または考え方のこと。これまでの公共サービスは、行政が管理的に提供する立場、市民は供給される立場であった。新しい公共では市民も公共サービスの提供者となること、行政は市民に場を提供し、信頼し、権限を移譲することが求められる。」と説明されています。平成22年6月に、「住民に身近な行政はできる限り地方公共団体に委ねるものとし、住民や主張、議会のあり方や責任もかわっていかなければならない。」とする「地域主権戦略大綱」が閣議決定されました、そして、同6月に、内閣府「新しい公共」円卓会議により「新しい公共とは人々の支え合い活気ある社会をつくることに向けたさまざまな当事者の自発的な協働の場」との宣言がなされた。

少子高齢化・人口減少時代への突入による財政等の諸問題、及び地球規模・国際的な問題解決の逼迫する中、地方分権が進められ、地方自治体はさらに地方独自の問題を解決する強い自立性を有する自治体として強化されることが求められおり、住民をはじめとしたNPOや自治会・町内会、民間企業といった多様な主体が公共的サービスの主体となる「新しい公共」の実現が不可欠です。
これらの難しい局面に参加できることを喜び、コンサルタントとしても、一市民としても、一企業人としても、積極的に関わり見守っていきたいと思います。

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